美浜町議会議員 河本 猛(こうもと たけし)

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zoom RSS 田園回帰が創る地域の未来、原発立地は農山漁村に回帰する選択から除外される。

<<   作成日時 : 2016/06/29 07:59   >>

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 5月13日、福井県町村会主催の政策研究講演会が開催されたので、私も参加してきました。
 町村の役割を考える 〜田園回帰が創る地域の未来〜 と題して、明治大学農学部の小田切徳美教授が講演しました。

 講演の内容と感じたことをまとめます。

 これまで、人の空洞化を「過疎」、土地利用の空洞化を「中山間地域」、村の空洞化を「限界集落」と、3つの空洞化の段階的進行を強いインパクトのある造語で呼んできた。
 しかし、近年、農山村の新局面として新しい風が吹いてきている。特に若者、ファミリー世代の移住希望傾向の強まりと、30代の女性に強い「農山村で子育て」志向があることが世論調査で明らかにされた。
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 都市住民の農山漁村への定住願望の有無でを見ると、男女ともに2005年と比較して2014年の定住願望が上昇し、男性の30代は17.1%→34.8%、40代は18.3%→39.0%、女性の30代は16.9%→31.0%、40代は14.1%→31.2%と、※勤労・子育て世代に農山魚村への定住願望が強まっている。特に女性は、すべての世代で、子育てに適しているのは都市よりも農山漁村と考えている。
 このニーズに応える政策を打ち出してこそ農山漁村が持つ本来の力(魅力)が発揮できる。
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 移住者の量的実態は、移住者が多い道府県の上位5位で全国の48%を占めており、自治体の取り組みで大きな地域差が出ているが、移住者数の推移は5年間で4倍になっている。2014年度は全国で11735人、5年後には6万人の規模になる可能性も秘めている。

 移住者の特徴は、
20〜30代が中心で「団塊の世代」は少ない。

➁従来は圧倒的に単身男性であったが、夫婦移住、単身女性、シングルマザーなど、女性の割合が上昇している。

職業は一部で「ナリワイ」の多業化も見られる。
・島根県の約3割の移住者は「多業」で生活をしており、「年間60万円の仕事を5つ集めて暮らす=年間300万円」を移住夫婦の基準にしている。
・例えば兵庫県朝来市の地域おこし協力隊の「5つのナリワイ」は、狩猟+農業+宿泊業+観光業+イベント興業を目標としている。

出身地とは別の地方に移り住む「Iターン」が、都市から出身地への移住「Uターン」を刺激する効果がある。

※➀〜➃が年齢、性別、出身地、働き方において、移住の多様化を生み、その多様性と柔軟なライフスタイルが農山村に入り込みやすい。
 従来は、1人が1人前の仕事を行うという考えが一般的であり、0.3人前の仕事はゼロ人前だった。しかし、現在は0.3人前の仕事を複数組み合わせるライフスタイルが実践されている。

 その最先端に「Uターン」でも、「Iターン」でもない、第3のパターン「孫ターン」がある。
 祖父母が農山村で暮らしてきた。
 父母は都市で暮らしている。(農山村→都市)
 孫の代が農山村で暮らす。(都市→農山村)


 田園回帰の意義(1)

・地域が維持されるための移住者数は、1000人の村に対して1%、年4家族(10人)である。※藤山浩氏「1%戦略」
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 田園回帰の持続により、人口の減少幅を小さくすることができ、高齢化率は大幅に下がる。それでも人口は減少するが、地域は大幅に若返る。

 田園回帰の意義(2)

 ➀「地域づくり(みがき)」が、人を呼び込む。
 ➁移住者が「地域づくり」を刺激し、サポートする。
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※「地域づくり」と「田園回帰」の好循環ができる。

 どうして移住定住に地域が生じるのは、「地域づくり(みがき)」に前向きな人(人材)がいる地域に人が集まり、主体性を発揮せずに愚痴ばかりいう人がいる地域には人が集まらないからである。
 「前向きの人」地域←<格差>→「愚痴の人」地域
 移住者は、愚痴をいう人の地域を選ばない。


 新しい状況の変化に対応して、新しい農山村像を描き、地域を維持・発展させる必要がある。
 「低密度居住地域」戦略や、その具体化として「小さな拠点」構想

 美浜でいえば、空き家を改装して美浜で移住体験を行う美浜町のNPO法人「ふるさと福井サポートセンター」のような取り組みが効果的だ。
 久々子の空き家を改装した移住体験・交流施設「蒼舎そうしゃ」を開き、美浜町に興味のある人に移住体験をしてもらうことで、町の活性化を目指すという。賃料は1泊あたり2人まで5000円、1人増えるごとに1000円を追加する。母屋と納屋だった木造2階建ての2棟があり、寝室やキッチンなど6部屋を備えている。居住期間は制限していない。NPOの北山大志郎理事長(46)は「より多くの人に、美浜町の魅力に触れてほしい」と話している。

 今なすべきことは何か?

 農山村の「地方創生」の本質は、人口減少下でも、地域を磨き、人々が輝き、町内外の人に選択される地域をつくるということである。※人口減少を抑制し、「人材」を増やす。
 本質は、人口を増やすことや交付金を獲得することではない。

 重要となるのは、人口を増やすことではなく「地域を磨くこと」

・地域の働き盛りの世代の「輝く場」として
・地域の高齢者世代の「安心できる場」として
・地域の子どもたちが「戻ってくる場」として
・地域外の人々の「あこがれの場」として

その原則は、
➀内発性・・・自分の思いと力で、
➁多様性・・・自分たちなりに、
➂革新性・・・今までとは少し違う方法で、(行政や外部主体の支援を得ながら)
地域を磨くこと。

 美浜町は地域を磨く必要がある。しかし、原発が存在するかぎり上記のような実践を行っても効果が出ないと思える。

・仕事やイベント、行事などは原発利益共同体に「依存」
・すべての世代が、被ばく前提、実行性のない避難計画で「不安を抱えている」
・原発そのものが「脅威的なリスク」であり、ひとたび原発が事故を起こせば「ナリワイと地域を失う」
・地域外の人々が原発のリスクを考え「移住定住の選択肢から外す」からである。

 その原因は、当事者意識や主体性がなく、いつまでも産業・経済・人口構成を原発に依存し、原発の交付金に頼っているから美浜町の魅力を活かす人材が育たない。常に他人任せで愚痴ばかり、自分が生まれ育った地域を磨こうとしないからである。
 美浜の環境と未来を真剣に考え、愛し、磨こうと思えば、原発・核(原子力)とは相容れないはずである。


 必要な3要素

 ➀くらしのモノサシづくり(主体づくり―主役)
 ➁くらしの仕組みづくり(場づくり―舞台)
 ➂お金とその循環づくり(条件づくり―シナリオ)


都市農村交流は、都市住民が「鏡」で、農村が「宝」を写し出す。そして農村サイドの再評価につながる。
➀交流の鏡効果が、主役となる主体づくり、「くらしのモノサシづくり」となる。

 ホスト(農村)とゲスト(都市住民)の「学び合い」が付加価値を生み、高いリピーター率は成長産業になる可能性がある。
➁交流産業が、シナリオとなる条件づくり「お金とその循環づくり」となる。

 新しい価値の更なる上乗せを図る都市農村交流は戦略的活動といえる。


 新しい地域産業構造の構築

➀ 地域資源保全は、単純な意味での地域資源活用ではない。
 地域資源保全とは、資源創造+資源保全+資源磨き+資源活用であり、資源保全の「物語」に都市住民の「共感」が集中し、「物語」があって、はじめて商品が動くのである。
 地域資源保全の取り組みから「物語」が生まれ、それに共感し、こだわりの消費につながる循環ができる。この基本理念が地域資源保全型経済には必要である。


➁ 6次産業は、国内食用農水産物9兆円と最終食糧消費額74兆円のギャップ65兆円にある付加価値と農山漁村での雇用の獲得にある。
 ただし、食料消費全体が2000年80兆円→2005年74兆円に縮小(1年1兆円以上減少)しているので、パイの拡大が必要。
 6次産業型経済は、需要創造型6次産業が必要といえる。

➂ 交流産業型経済は、所得形成機会であると同時にホストとゲスト双方の人間的成長の機会でもある。
・ホスト(農山漁村)にとって、交流の鏡効果は、こどもが最も反射率が良い
・ゲスト(都市住民)が得られる新しい学びとして、こどもにとって農山漁村は「ワンダーランド」である。
・高いリピーター率は、産業として成立する可能性も高いということであり、逆にリピーターが少ないということは改善しなければならない課題が存在していることを示しているのである。(事例、大分県宇佐市安心院町・農泊)

 なぜ美浜町は人口が極端に減り、若者が流出しているのか、なぜ移住定住者が少ないのか。その根本的な原因は、原発依存体質にあるということを早く気付かなければならない。

➃ 世論調査では、月に3〜5万円と意外と小さな追加所得要望が多い。年間36万〜60万円の追加所得を形成する「小さな経済」の構築が必要(典型的には直売所)。
 「小さな経済」の集積の上に、若者定住を可能とする「中程度の経済」が成立する。

<従来>大きな経済→波及効果→中程度の経済。実態は波及効果がなく格差が広がっている。

 内発的発展の実質化で、もう一つの農村開発方式を
 小さな経済→積上効果→中程度の経済

 私は、最低賃金を1000円、1500円をめざす労働政策やブラックな働き方を是正することも同時に行えば、経済の循環もより流動的になり、産業全体に「中程度の経済」が拡大すると思っている。


 新しいコミュニティづくり = 手作り自治区 → 地域運営組織

その4つの性格

総合性(「小さな自治」、「小さな役場」)

二面性 自治組織+経済組織=地域運営組織

補完性(集落←<補完>→手作り自治区)
 集落=「守り」の自治(地域資源保全)
 新しいコミュニティ=「攻め」の自治

革新性・集落の「1戸1票」ではない新たな仕組みが必要


その機能と発展段階(安芸高田市川根地域振興会からモデル化)
・「できることから、身の丈にあった活動を絶え間なくコツ・コツとやっていく。その中からできたこと、始めたことへの愛着、誇り、生きがいが少しずつ生まれてくる。私たちの活動はそれを繰り返してきたにすぎません。」(同川根振興協議会・辻駒健二会長)
※段階的発展(無理をしないコミュニティづくり)
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住宅を建築し、小学校を守る地域運営組織(広島県三次市青河自治振興会
・小学校を拠点とする自治体組織(公民館機能も兼ねる)
 小学校は地域の拠点、地域のDNAの形成は小学校から
・小学校児童数を維持するため住民出資の住宅会社(有)ブルーリバーの設立(2002年、9人の出資(1人100万円))
・現在10棟(新築7+改修3)→39人の移住(2次移住を含め合計61名)
・輸送サポート(無償輸送)にも取り組む
・3戸の空き家改修では、所有者に向かい合い、課題を浮き彫りにする。
「空き家は流動化しないとは、決めつけだった」ということがわかった。

コンビニをつくった地域運営組織(島根県雲南市波多コミュニティ協議会)
・15自治会を範囲とする認可緑地団体
・地域づくりビジョンをつくり、「防災」「買い物」「交通」「産業」「交流」の5つの分野に重点
・地区内唯一の小売店の撤退を受け、拠点の交流センター内に、「店舗」開設
・全日本食品(株)と連携し、豊富な品揃え
・拠点を活かし、地域自主組織が運営
・サロンスペースをつくり、利用者には無償の輸送(配達も実施)

総論 地方創生「本格期」の戦略=トップダウンとボトムアップの双発=ネオ内発的発展(英国・ニューカッスル大学CRE)
 どの地方でも外来的な力と内発的な力は存在しており、地方レベルでは地方と外部が相互に関係しあわなくてはならないのである。重要なポイントは、こうした広範囲に及ぶプロセス、資源、行動を自分たちのためにハンドリングできるような地方自らが能力をいかにして高めていくかである。これがネオ内発的発展という概念である。

 課題は、地域の当事者としての意識づくりです。

・地域に対する当事者意識。
 可能性の共有化(太陽路線)→当事者意識
 危機意識(北風路線)→あきらめ・依存意識

・具体的対応
 <古くから>公民館運動(文科省「地方創生の拠点」)
 <少し前から>地元学(ワークショップ)
 <最近では>都市農村交流(交流の鏡効果)

 地方行政の自覚的な対応

・「地域が主役」であるための行政の役割を自覚(地域づくりは、いつか住民の背中に隠れることを意識して、取り組むべきもの―長野県飯田市職員)

 コミュニティレベルからの挑戦

、徹底したボトムアップ→地域デザイン
2、ワークショップによる当事者の意識づくり←それを引き出す、段取り・進行・プログラムを鑑みながら、問題の解決や合意の形成に導く役割をする人が重要
3、時間の保証(特に事業準備段階)
・足し算の段階=あきらめのプロセス(特に時間のかかるケースが多い)

政策の持続性の確保
政治的ブームではない「地方創生」が必要。

「ムーブメント」化のために

都市住民と共有できる農山村の新しい安定的役割を確認し、町村から発信すること

➀新たなライフスタイル、ビジネスモデル提案の場
➁少子化に抗する「砦」としての場
➂再生可能エネルギー蓄積の場
➃災害時のバックアップの場

多面的機能論を超える実践的な役割の発揮

都市・農村共生のムーブメントへ


日本社会の岐路

➀成長追求型都市社会の形成

⇕ 2020年東京オリンピックが「分水嶺」

脱成長型都市農山村共生社会の形成
※農山村だけの問題ではない。本来、「コンパクトシティ」には成長路線見直しの要素がある。

都市農村共生社会創造へ!


太陽路線の「地方創生」を

 国勢調査で速報値が発表された。地方部では人口減少がさらに加速した様相が浮かび上がっている。2年前、世間を騒がした「地方消滅論」が再び勢いを強める予感もある。
 しかし、この地方消滅論については、既に多くの批判があり、説得的なものではないことは明らかである。それにもかかわらず、この論のシンパシーを持つ人々がいるのは、消滅というショックが、地域の危機意識を生み出し、再生への転機となるという期待があるからであろう。
 確かに、永田町や霞が関ではその戦略は成功したかもしれない。増田レポート(2014年5月)、地方創生本部の立ち上げ(同9月)、地方創生法成立(同11月)、地方創生総合戦略の閣議決定(同12月)という淀みない流れは、その起点の地方消滅論なしにはあり得なかったであろう。
 しかし、地方では、このショック療法は成功していない。いや、むしろ再生の途に重大な負の影響を与えているとしても過言ではない。なぜならば、過疎地域や農山村の現場レベルで、いま必要なことは、なによりも「諦観からの脱却」である。人口減少とともに進みつつある空き家や耕作放棄地の増加の中で、人々は時として、諦めてしまうこともある。そのような気持ちを地域内に拡げないことが、地方創生のスタートラインである。行政や支援組織、そして住民自体がそのため日々たたかっている。
 そうした時に、名指しして、将来的可能性を「消滅」と断じることは、それに水を差すことにならなかったであろうか。必要なことは、地域に寄り添いながら、「あの空き家なら、まだ移住者が入れる」「あそこの子どもは戻ってきそうだ」などと、具体的に地域の可能性を展望することであろう。つまり、「可能性の共有化」こそが「諦観からの脱却」の具体策であり、地方創生はこうした取り組みの延長線上に見えてくるものである。
 それは、あたかもイソップ童話の旅人をめぐる「北風と太陽」の逸話のようである。つまり、消滅という北からの暴風を吹かせて、地域に取り返しのつかないダメージを与えてしまうのか、そうではなく、地域の可能性を太陽のようにあたたかく見つめて、地域に向き合うかである。あらためて太陽路線の地方創生が期待される。

 話を聞いていると原発問題にも深く関係してくる話で、美浜町には原発という地域に取り返しのつかないダメージを与えてしまう脅威が既に存在している。(人口減少による地方消滅ではなく、原発事故による地方消滅)
 美浜町は、原発の脅威・リスクにより人口減少が加速している現実ともたたかわなければならない。一過的な利益のために原発に群がり依存するのではなく、農業・漁業・地場産業、海・山・湖と共生して、地域の可能性を活かしていく町づくりが必要である。人が住みたくなる町、子どもたちが帰ってくる町、子どもや孫に豊かな未来を残せる町づくりが太陽路線の地方創生だと考える。
 広範囲の人間が、土地に根を下ろし、生活するという権利を根本から破壊する原発とは共存できない。

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