大飯原発の原子炉設置許可の取り消しを命じた大阪地裁判決 美浜原発3号機の焦点に!

 関西電力大飯原発3、4号機の原子炉設置許可の取り消しを命じた大阪地裁判決は、原子力規制委員会の判断について「審査すべき点をしておらず違法だ」として、国に設置許可の取り消しを命じました。
 美浜原発3号機は、大飯原発よりも基準地震動の値が高く、活断層に囲まれ、直下の4キロ付近にC断層(活断層)があり、施設の地表付近まで4本の破砕帯(断層)が伸びています。熊本地震の知見や地下構造に対しての検討が不十分で、大飯原発と同様に基準地震動は過小評価されています。
 大阪地裁判決の原発設置許可の取り消しの効力は、国側が控訴すれば直ちに効力は生じません。しかし、国が控訴した場合は、原発設置許可の執行停止を申し立てることができます。
 原発設置許可の取消しの効力が生じなくなると、原発の対策が不十分なまま原発を稼働させることができます。そうなれば、事故が発生した場合に住民は多大な損害を被ってしまうことから、判決の結論が出るまで、原発設置許可の効力を停止するよう裁判所に求め、それが認められれば関電は原発を動かせなくなります。

福井新聞↓ 2020年12月6日
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京都新聞 社説:大飯原発判決 「想定外」への不備を指弾
2020年12月6日 16:00

 原発の運転を認めてきた国の安全性審査に重大な疑念を突き付けたといえる。
 関西電力大飯原発3、4号機について、設置を許可した原子力規制委員会の判断は違法だとして、取り消す判決を大阪地裁が出した。
 判決は、地震規模の想定で「必要な検討をせず、看過しがたい過誤、欠落がある」とし、規制委の判断を強く批判した。
 東京電力福島第1原発事故を踏まえ、策定された新規制基準に基づく審査に「合格」した原発の設置許可が取り消されるのは初めてだ。稼働中を含め、他の原発にも不安の目が向けられよう。
 未曽有の被害を招いた「想定外」の事故を本当に防ぐことができるのか。改めて問い直すことが求められている。
 裁判の主な争点となったのは、関電が算出した耐震設計の目安となる揺れ(基準地震動)の評価と、これを基に設置を許可した規制委の判断が妥当かどうかだ。
 原告の住民らは、算出に用いる過去の地震データには平均値から離れた「ばらつき」があるのに考慮されず、過小評価されていると主張してきた。
 大阪地裁は、実際は平均値より大きい方向に懸け離れる可能性があり、規制委が定めた「審査ガイド」でも、ばらつきを考慮する必要性を示していると指摘した。
 それなのに、地震の規模で数値の上乗せをする必要があるか否か、規制委は何ら検討せず許可を出したとして、「審査すべき点を審査していないので違法」と厳しく断じた。
 2013年7月に施行された新規制基準は、福島原発事故のような惨事を二度と起こさないとの使命を負って策定されたものだ。規制委や政府も「世界最高水準の厳しさ」と自負してきた。
 しかし、今回の判決は、自ら作った基準通りに従うことなく、起きうる最大限の地震の規模を適切に検討できていないことを問題視。規制委の審査姿勢を指弾したといえよう。
 大飯3、4号機は現在、定期検査で停止している。地裁判決も、国側が控訴すれば直ちに効力は生じないという。
 これまでも電力会社を相手にした住民訴訟などで、原発の運転を禁じる判決や仮処分がたびたび出されている。だが、いずれも上級審などで覆され、確定した例はない。
 ただ、今回は新規制基準による国の安全性審査の手法を否定した初のケースである。他の多くの原発でも同じ手法が用いられており、無関係ではない。
 その信頼性が大きく揺らぐことを、規制委と電力会社は重く受け止めるべきだろう。
 原発の再稼働を進める政府方針を追認するように、次々と「お墨付き」を与えてきた規制委の審査手続きに対し、司法は厳格なルールに基づく判断を求めたといえる。
 抜本的に安全性審査の取り組みを点検し、見直していかなければ、地元をはじめ国民の不安を払い去ることはできないのではないか。


大飯原発「世界一厳しい」新規制基準揺らぐ 大阪地裁判決に原子力規制委ぼうぜん
東京新聞 2020年12月4日

 原発を動かしていいかを審査した原子力規制委員会に、司法がノーを突き付けた。4日の大阪地裁判決は、関西電力大飯原発3、4号機(福井県)で想定される地震の揺れの評価を巡り、規制委が「不確かさ」を十分に考慮しなかった点について、「看過しがたい過誤がある」と指弾。原発再稼働を進める政府が「世界一厳しい」と自負する新規制基準は、土台となる審査の信頼性が揺らぐ。(小川慎一、小野沢健太、福岡範行)
◆4年前の予兆 地震学の権威が再考を促していた
 「正直言って負けるとは思っていなかった…」。東京・六本木の高層ビル内にある規制委で取材に応じた村田真一・原子力規制庁広報室長はぼうぜんとした。
 しかし、予兆はあった。大飯原発で想定される地震の揺れの評価で「不確かさを考慮すべきだ」と、2016年、規制委員長代理を務めた地震学の権威、島崎邦彦東大名誉教授が再考を促していたのだ。島崎氏の試算では、関電が示した値の2倍近くとなり、これが採用されれば、原子炉建屋などにより厳しい耐震性が求められることになる。
 耐震設計の目安となる基準地震動(最大の揺れ)の算定では、活断層の長さなどから地震の規模の平均値をとる。これは実際の地震の規模と大きくかけ離れるため、不確かさを考慮して何らかの数値を上乗せする必要がある。判決は、この点の検討が「不十分」と断じた。
◆「再計算は不適切」認めるも見直さず
 規制委は、島崎氏の指摘を受けた再計算で「問題なし」とした。16年7月には島崎氏との面談で「再計算は不適切だった」と一転非を認めつつ、見直さないと突っぱねた。田中俊一委員長(当時)は記者会見で、「島崎氏の言っていることには根拠がないというところまで、われわれも勉強した」と言い切った。
 ところが同じころ、規制委の審査姿勢に、地震動の計算方法をつくる政府の地震調査委員会内でも疑問視する声が上がっていたことが、本紙が情報公開請求で入手した議事録で判明している。16年4月の熊本地震後、複数の計算方法を併用するよう求めていた。にもかかわらず、規制委は地震学者の警鐘を無視した。
◆「おかしさ、誰にでも分かる」
 14年5月に福井地裁裁判長として大飯3、4号機の運転禁止を命じた樋口英明さん(68)は、今回の判決を「地震規模を求める方法は大きな矛盾を抱えており、おかしさは誰にでも分かる。高裁でも維持されやすいと思う」と評価する。
 地震動の想定は、設備に必要な耐震性を判断する根幹。判決が確定すれば、規制委の審査はやり直しが必至となり、新基準適合済みの9原発16基は運転資格そのものを失いかねない。
 50年までに国内の温室効果ガス実質ゼロを目指す菅政権にとって、二酸化炭素を排出しない原発は重要な電源だ。梶山弘志経済産業相も「安全性が確認された原発は最大限活用する」と明言している。
 安全性を担保する規制委の審査が、足元から揺らぐ事態となった。規制委は8日、非公開の会議を開き、判決を受けた今後の対応を話し合う。


「希望が見えた」 “原発銀座”から訴え続けた原告男性が喜び 大飯原発訴訟
毎日新聞 2020年12月4日 20時08分(最終更新 12月4日 23時36分)

 原発の危険性を訴え、原告になった石地優さん
 地元の福井県から2人が原告となった。その一人の若狭町の農業、石地優(いしじ・まさる)さん(67)が初弁論の法廷で意見陳述してから8年。裁判長が国の設置許可を取り消したこの日も、法廷に駆け付け「希望のある判決だ」と喜んだ。
 入り組んだリアス式海岸や「三方五湖(みかたごこ)」で知られる若狭町は、大飯原発から30キロ圏内に位置する。米農家の長男として生まれた石地さんは大学卒業後、地元の電機部品メーカーに勤めながら、両親の農作業を手伝ってきた。数十年前から「安心・安全な暮らしを実現させたい」との思いが強まり、原発に反対するようになった。長年にわたって米の有機栽培を続け、野菜を育てる畑でも化学肥料は使わず、農家としても安心・安全にこだわってきた。
 2011年3月11日に起きた東日本大震災。東京電力福島第1原発事故では大量の放射性物質が放出され、大切な田畑を失った人たちがいる。「何代も受け継いできた田んぼや自然と共に生きてきた農家の方たちのことを思うと、無念でいたたまれなかった」
 県内の沿岸には13基の商業用原発が集中し、特に若狭沿岸は「原発銀座」と呼ばれる。若狭で原発反対を訴え続けてきた石地さんだが、原発産業の恩恵を受けてきた地元住民が抱える心中の複雑さは理解しているつもりだ。ただ福島第1原発事故の教訓から「事故が起きれば古里を追い出される」という危機感が拭いきれず、原告に加わった。
 「将来の子や孫のために原発をなくしたい」。原発の安全性への疑問を法廷でも訴えてきた石地さん。判決後、「国や関電は判決をしっかり受け止めて、原発に頼らない道を考えてほしい」と改めて求めた。【伊藤遥】
大きなブレーキ、感無量の判決
「事故は想定外に起こるもの」と話す明通寺の住職、中嶌哲演さん
 福井県内に住むもう1人の原告で、福井県小浜市の明通寺の住職、中嶌哲演(てつえん)さん(78)は「最近は、福島第1原発事故がなかったかのように、再稼働や老朽原発の延命をする『逆風』が吹いていたが、その後押しをしてきた行政に大きなブレーキをかけたという意味で感無量の判決だ」と評価した。また「事故は想定外に起こる。国や電力会社には謙虚さが必要だ。今回の判決はそれを体現した」と、紅葉が残る境内で静かに語った。【大島秀利】

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