パナソニック若狭裁判 最高裁要請 5月

 本件において、河本猛さんが提出した証拠は、福井労働局に提出したものです。労働局は、証拠に基づいて調査、聞き取りを行い、1999年からの偽装請負期間を通算して、既に労働者派遣契約締結の根拠がなく、労働者の雇用の安定を図るため、直接雇用か適正な請負にするよう是正指導しました。パナソニックは労働局の指導に従い河本さんに対して直接雇用の条件を提示しています。

 甲22号証は、2004年~2005年2月にかけて、パナソニックが偽装請負状態を違法状態であると認識し、対策を検討している書面です。
 パナソニックと請負作業者が混在し、注文書発行による支払いがなされていません。検討課題として、各請負会社別支払状況把握、作業別注文処理に伴う品番設定、見積書取得・価格決定の早期実現をあげている事から、パナソニックは違法状態であることを認識しながら、製品の完成に対して対価を支払っていたのではなく、河本さんの労務提供に対して対価を支払い、就労当初から違法状態のまま雇用を継続してきました。
 甲40号証で示したように、05年~06年にかけて偽装請負が労働者にもたらす無権利労働、不安定、健康被害が社会的問題となり、パナソニックのグループ会社も問題の中心企業として告発されました。
 パナソニックは若狭工場でも急遽対応を迫られ、06年11月、形式的に適法を装うため、河本さんらに契約形態変更の説明をせず、既に労働者派遣契約締結の根拠がないにもかかわらず、違法な派遣契約(労働者供給契約)に変更しています。
 その後、甲33号証によれば、パナソニックは07年9月20日に、再度の請負化に伴う直接者と河本さんらの人事異動の計画を立て、河本さんらの役割・個人名まで詳細に記載しました。
 これは、形式的に適法を装うための違法な派遣契約(労働者供給契約)が、形式的にも3年を超える09年10月には直接雇用義務が発生するため、「2009年問題」を回避するべく、再び請負契約に戻す事を事前に決定していたものです。

 福井労働局の是正指導が出された08年12月18日以降、パナソニックは直接雇用か適正な請負で雇用の安定を図る事を迫られました。(甲44号証9頁ウ)
 適正な請負に関して、そもそもパナソニックが河本さんらを教育して請負化を主導していたにもかかわらず、労働局に「適正な請負」を迫られ検討したら、日本ケイテムでは、「適法な請負」は出来ないと判断しています。
 結果、100%出資のパナソニックエクセルプロダクツに請負させる事でしか、適法化する事が出来なかったのですから(甲44号証9頁エ)、結局、再度、日本ケイテムに請負をさせる請負化計画も適正な請負ではなく、パナソニックが形式的に適法と見せかけるための違法な契約形態でしかありませんでした。
 事実関係から見て、パナソニックは「偽装請負→違法派遣→再偽装請負」と特定の熟練工である河本さんらの長期的な確保・運用を目指しながら、河本さんを他社の労働者であるかのように見せかけるため、日本ケイテムと共謀して契約形態を変更してきたのが実態です。
 パナソニックは、常用雇用の代替としてはならないという労働者派遣法の根幹に反し、偽装請負・違法派遣をくり返して自らが雇用する河本さんを他社の労働者であるかのように見せかけてきました。
 違法な派遣契約期間は偽装遂行のために、一時的な適法化を装ったに過ぎません。パナソニックの意思で「偽装請負→違法派遣→再偽装請負」と法潜脱するための契約変更を繰り返してきた制度そのものが極めて悪質であり、この悪質な制度そのものが、河本さんと派遣元との間の違法な派遣契約(労働者供給解約)を無効であると解すべき「特段の事情」といえます。

 河本さんは、パナソニックで就労を開始した05年からパナソニックの社員と同様に、パナソニック(PEDJ)社長方針を記載した「安全・品質・環境手帳」(甲28号証)を携帯させられ業務に従事してきました。
 記載の5S(整理、整頓、清掃、清潔、躾・マナー)活動の取り組みについては、甲24、25号証を見れば取り組みの期日が05年8月から07年3月のものだとわかります。
 5Sは担当に関係なく従業員全てが取り組みます。06年7月までは、河本さんらの記載は代表して「●●」だけでした。しかし、06年8月からは「河本」「●●」の顔写真、名前まで明確に記載され、パナソニックから採点も付けられています。
 パナソニックで働く従業員として5Sに取り組み、採点も付けられ就労を続けてきた河本さんが「パナソニックの従業員として誇りを持ち労働に従事してきた」という認識は疑いようがありません。
 河本さんは、甲31号証(勤務管理表)が賃金を決定する物だと明確に証言しています(原審本人調書16頁)。パナソニック社員の●●班長に対して、06年11月の労働者派遣契約に切り替える為に整備した内容を質問したところ、「出勤時間を記載する帳票については、日本ケイテムの様式のものを準備はしました。」(●●調書15頁)と、勤務管理表(甲31号証)について自ら日本ケイテムの様式のものを準備したと証言しました。
 パナソニック社員の●●班長は、パナソニックが労働者の賃金を決定する重要な勤務管理表に日本ケイテムの名称を使用した事を自白しています。
 続けて、「それまでは、パナソニックの様式でやっていたのですか。」と06年11月以前の様式を問うたところ、「我々が管理する部分でパナソニックの様式を、我々が作った独自のものを記入してもらっていました。」(●●調書15頁)と証言し、請負を装っていた頃は、パナソニックが独自に作った様式の勤務管理表で労務管理し賃金を決定していたことを認めました。
 更に、「それは、我々の工程で記入してもらって、それを若狭の管理チームに提出していました。」(●●調書15頁)と運用方法も証言しています。
 河本さんは、このような運用実態を経験し、パナソニックが管理運用する勤務管理表に出退勤時間を記入する事で、その記入内容に基づいて賃金が払われていた事から、勤務管理表が賃金を決定する物だと明確に証言しているのです。
 甲31号証にはパナソニック社員の●●班長の確認印が押され、パナソニックが出退勤時間の確認を行っていた事が明確に認められます。
 パナソニックが適法を装うために、労働者の賃金を決定する重要な勤務管理表に日本ケイテムの名称を使用したに過ぎない事は証拠や調書からも明らかです。

 原判決は、パナソニックによる賃金関与の証拠はないとしていますが、パナソニック社員●●班長の証人調書は、賃金関与を明確に認めています。
 甲32号証を示した「●●調書24・25頁」では、「社外工ケイテムの1人の労務費が幾らというレートがあり、我々が管理している基準の労務費がありまして。」と明確に賃金関与を認めています。
 甲32号証を●●班長自らが作成した事を認め、社員と河本さんらの労務費の計算を行っており、計算は間違っているものの、ケイテム1人当たりの労務費が決まっており、それと社員の労務費の差を確認したかったと明確に証言しています。
 また、甲32号証は、河本さんらを個別に特定し、解雇する期日まで記載しています。パナソニックが河本さんの解雇権に関与していた事実も明らかです。

 パナソニックが河本さんの採用に関与している事実は就労当初だけではなく、人事、契約変更、就労実態、継続雇用申込みの証拠、証言から採用の関与は明らかです。
① 2005年2月21日の就労当初(控訴理由書7頁)
② 河本さんに作業者認定を行い、夜勤専属へ配置転換した時期(原審本人調書22頁)
③ 形式的に違法な派遣契約(労働者供給契約)に変更した時期(●●調書15~23頁)
④ 請負化計画を実行し、サブリーダーや切換担当を依頼した時期(甲30の11~36号証)
⑤ 福井労働局の是正指導により直接雇用の条件を提示された時期(一審本人調書28~35頁、二審本人調書)

 特に⑤については、パナソニックが直接雇用を明示しており、その前後の経過、契約関係、賃金の支払い、使用従属関係の実態を詳細にしているのですから、裁判所がその事実を無視することは許されません。仮に派遣労働期間中であっても直接雇用が認められる事実があり、その上、本件の違法派遣について労働者派遣法の適用を否定しても一般取引に及ぼす影響は全くありません。
 派遣元と河本さんの間の違法派遣契約(労働者供給解約)は08年11月15日で既に終了していた事実があり、パナソニックと日本ケイテムの間の労働者供給契約も労働局の是正指導がなければ08年12月には破棄されていた(実際には08年11月に破棄されていた)のですから、労働者派遣契約は無効であると解すべき「特段の事情」が認められます。
 労働局の是正指導を受けたパナソニックから、直接雇用の条件を提示された河本さんは、パナソニックの直接雇用を選択し、雇用継続に対する期待を有していました。河本さんが直接雇用を選択した事実は、弁論や原審調書において明確です。
 直接雇用と請負会社移籍の選択について、パナソニック代理人が「結論として、あなたは両方の選択肢を選ばなかったんですね。」と尋問したのに対して、河本さんは「いや、直接雇用を選ぶと言いました。」(原審本人調書57頁)と明確に証言しています。

 請負会社、派遣元と称する日本ケイテムは、審理において自らの主張を何ら立証していません。自らが雇用し管理を担当させていた者さえ証人として法廷に出頭させず、住所や連絡先も明らかにしませんでした。
 裁判所もそのことを十分に理解しておきながら、河本さんが証人として請求する2名のうち、出頭を頑なに拒否している者を採用し、容易に出頭が可能な現職の者を採用しませんでした。結果、日本ケイテムの労務管理や賃金決定を確認できる事実は何も存在していません。

 数多く提出されている証拠(内部資料)、証言のいずれもが、パナソニックと河本さんの間の人事、指揮命令、労務管理、賃金関与、解雇、直接雇用の条件提示であり、使用従属関係、雇用関係の事実を明らかにするものです。
 パナソニックは勤務管理表に基づいて賃金を決定し、河本さんに対して過労死基準を遙かに超える時間外労働を命令してきました。
 日本ケイテムは労務管理を行っていないので、河本さんがおかれる過重な負担を全く知ることなく放置してきました。
 労務管理の実態がないのに賃金台帳を作成しているのは、河本さんの賃金をパナソニックに代行して支払っているからです。
 2006年、河本さんの時間外労働は1542時間15分、通常勤務時間は1816時間です。合計すると年間3358時間15分です。
 月単位で計算すると過労死基準80時間を遙かに超える時間外労働が1年以上続く非人道的な労働実態です。
 偽装請負・違法派遣がもたらす非人道的労働がパナソニックの命令で行われているにもかかわらず、日本ケイテムは雇用主らしい責務を果たしていません。
 パナソニック若狭工場の入力デバイスチーム成形係において、日本ケイテムは企業としての独自性を有してなく、形式的名目的に支払いを代行する機関に過ぎません。

 人事、指揮命令、労務管理、賃金関与、解雇、直接雇用の条件提示、使用従属関係からパナソニックと河本さんの間には労働契約の成立が認められる事情が存在しています。
 このような事情は「松下PDP偽装請負事件」(最高裁平成21年12月18日判決)にはありません。本件は多くの証拠と証人の証言から「労働契約の成立」「特段の事情」「不法行為」が認められる事件であるにもかかわらず、原判決は弁論や証拠調べの結果を無視した事実認定で結論を誤っています。適法な弁論や証拠調べの結果を無視した事実認定は違法です。
 最高裁におかれましては、上告を認め、原判決を破棄していただきますよう強く求めます。

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この記事へのコメント

なかなか、、
2014年10月06日 20:27
「松下PDP偽装請負事件」
最高裁平成21年12月18日判決の判決文に、
今井功裁判官の補足意見があります。
“報復”“不利益扱い”という言葉から、
雇い止めや嫌がらせがあったということを
示していると思いました。

私は法律や難しい事はわかりませんが、
河本さんの経緯を拝読して、
雇い止めやハラスメントがあったと思います。
最高裁には、
ふつうの人が、ふつうに働いて生活できる社会に
なるような指針を示して欲しいものです。

ところで、
ハラスメントを罰する法律はできないのでしょうか。
立場を利用してハラスメントする人間への
抑止力、あるいは雇い止めに繋がるハラスメントを
減らせると考えたりするのですが。

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