世代をつなぐ 12衆院選 非正規労働のあり方(2012年11月30日、東京・中日新聞)

「非正規で働く苦しみを、次の世代に残したくない」
 弁護士や大学教授らでつくる「非正規労働者の権利実現全国会議」が十一月、福井市で開いた集会。パナソニックを相手取り、正社員としての地位確認などを求め訴訟中の元派遣社員、河本猛さん(34)=福井県敦賀市=は、必死に裁判を続ける理由を語った。
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集会で非正規労働者の厳しい現状を訴える河本猛さん(左)=福井市で

 メーカーの仕事を請け負う会社の社員だった河本さんは、二〇〇五年二月からパ社の関連会社(現在は本社に吸収合併)の地元工場で電子部品の製造に従事した。〇六年十一月に請負会社が派遣会社に変わり、パ社社員の指示で働く派遣社員に。夜勤の十二時間労働を基本に、休日労働や残業もいとわずに働いてきた。しかし、リーマン・ショック直後の〇八年十一月、パ社の生産減少を理由に派遣会社から突然、解雇を通告された。

 〇九年の総選挙後も、非正規労働者の割合は増えており、総務省の労働力調査によると、一一年は35・2%(東北被災三県を除く)。今や、三人に一人以上が非正規で働く時代だ。特に十五~三十四歳の非正規の割合は、三十五~五十四歳と比べても高く、むしろ拡大している=グラフ。
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”骨抜き“法改正 大幅後退

 景気後退の影響で真っ先にしわ寄せを受けるのが、こうした不安定な立場の非正規労働者。リーマン・ショック以降、全国で「派遣切り」が相次ぎ、数十万人が職を失った。

 市民団体や労働組合は〇八年末、東京・日比谷公園に「年越し派遣村」を開設。失業とともに家を失い、雇用保険などのセーフティーネットも乏しい非正規労働の実態が明らかになった。〇九年夏の民主党による政権交代の原動力の一つとなったのは、労働規制などで格差是正を求める市民のうねりだった。

 しかし、紆余(うよ)曲折を経て一二年三月に成立した改正労働者派遣法は、民主、自民、公明の三党合意で“骨抜き”に。看板だった登録型派遣、製造業派遣の原則禁止が削除されるなど、当初案から大幅に後退した。

 「民主党は真剣に取り組むと言っていたのに、政権を取ったら姿勢が変わってしまった。なぜ非正規だからと、こんな仕打ちを受け、苦しまねばならないのか」と、河本さんは憤る。

 派遣切りされた労働者が、派遣先を訴える裁判は全国で起こされている。ただ、こうした政治の動きを反映してか、最近は派遣先の雇用責任を否定するなど、労働者側に厳しい判決が続く。

 河本さんの訴訟でも、正社員化と慰謝料を求める請求は棄却。現在、控訴審が進む。弁護人を務める海道宏実弁護士は「最近の電機業界のリストラでも明らかなように、非正規の問題を放置していたつけが、正社員にも及んできている。労働のあり方は、生活保護や貧困、自殺や過労死の問題にもつながる」と、さらなる法改正を求める。

 龍谷大の脇田滋教授(労働法)によると、日本型の雇用慣行に近かった韓国では、労働組合が中心になって非正規労働を規制する動きが見られ、十二月の大統領選挙でも主要な争点の一つになっているという。「今衆院選で各政党は、主要な争点に挙げるべきだ」と指摘する。 (稲田雅文)

◆失業率 若者が高齢者上回る

 若年層の不安定な雇用が解消されない一方、八月に「改正高年齢者雇用安定法」が成立した。定年に達した従業員の希望者全員を六十五歳まで雇用することを義務付ける内容だ。

 ただ、総務省の労働力調査によると、二十五~二十九歳の失業率は、二〇〇三年まで六十~六十四歳を下回っていたが、以降逆転、〇九、一〇年は7%台に達している。全年齢の平均の5%を2ポイントも上回り、世代間の雇用格差は深刻だ。経団連が昨年行った調査では、退職者の雇用が義務化された場合、「若年者の採用数の縮減で対応」と回答した会員企業が四割に及んだ。若年層へのしわ寄せが懸念され、この世代の雇用対策にもっと力を入れる必要がある。

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原発なくせ
2012年12月04日 02:26
活断層の可能性否定せず 敦賀原発、原子力規制委調査
12月2日(日) 20時21分
 原子力規制委員会は2日、日本原子力発電敦賀原発(福井県)の断層調査を1日に続いて実施した。原子炉直下の断層が動いた直接の証拠は見つからなかったが、断層上を覆う地層に変形が見られたことでは調査メンバーの見解が一致した。調査後、メンバーらは取材に対し、断層が動く可能性を否定しなかった。
朝日新聞
tatsu
2012年12月05日 17:43
驚いたよ。
原発なくせ
2012年12月05日 18:37
敦賀原発、原子炉下に活断層なら「再稼動困難」=田中規制委員長
12月5日(水) 18時03分
 原子力規制委員会の田中俊一委員長は5日の定例記者会見で、日本原子力発電敦賀原子力発電所(福井県敦賀市)の破砕帯(断層)の現地調査に関する評価会合が10日に開催されることに関連して、原子炉直下にある同破砕帯が活断層だと判断された場合は、「(再稼動は)なかなか難しい」との見解を示した。
規制委は島崎邦彦委員長代理や鈴木康弘・名古屋大教授ら専門家5人による現地調査を今月1日と2日に実施。この調査の評価会合を10日に開催し、必要に応じて11日に追加会合を開く。国は活断層の上に原子炉など重要施設の設置を認めておらず、2号機直下にある破砕帯が活断層と認められれば、同号の再稼動は困難となり廃炉に追い込まれる可能性が出てくる。
田中委員長は、評価会合で問題の断層が活断層であるかどうかの結論に至らない場合の対応について、「いまの科学技術の知見ではどちらとも判断できない場合は、安全が担保できるかということを別の視点で見ていかないといけない。(地震や地質の)専門家からわからないと言われたときに規制委員会としての判断になる」などと答えた。(ロイターニュース、浜田健太郎)
原発なくせ
2012年12月07日 23:50
被曝隠しで建設会社長を書類送検 労働安全衛生法違反
12月7日(金) 23時09分
 東京電力福島第一原発で作業員の線量計を鉛カバーで覆う「被曝(ひばく)隠し」が行われた問題で、厚生労働省の富岡労働基準監督署(福島県)は7日、青森県の建設会社「アクセス青森」と、同社の社長(55)を労働安全衛生法違反の疑いで福島地検に書類送検し、発表した。
朝日新聞
原発なくせ
2012年12月10日 06:34
被曝隠し、偽装請負認定 厚労省、8社に行政指導へ
12月10日(月) 1時15分
 【多田敏男】東京電力福島第一原発で鉛カバーを使った「被曝(ひばく)隠し」が行われた工事の下請け会社8社について、厚生労働省は、違法な「偽装請負」の状態で作業員を働かせていたとして是正指導する方針を固めた。東電とグループ会社の東京エネシスには改善を要請した。東電が否定してきた不正な多重請負構造が存在し、作業員の安全を脅かしていたと監督当局が認めた格好だ。
朝日新聞
原発なくせ
2012年12月10日 21:58
敦賀原発、廃炉の公算大 規制委「活断層の可能性高い」
12月10日(月) 20時25分
 日本原子力発電敦賀原発(福井県)の敷地内の断層を調査した原子力規制委員会は10日、外部の専門家を交えた評価会合を開き、2号機の原子炉建屋直下を通る断層は活断層である可能性が高いとの認識で一致した。国のルールは活断層の真上に原子炉建屋を建てることを認めていないため、2号機は再稼働できず、廃炉を迫られる公算が大きくなった。
朝日新聞
原発なくせ
2012年12月11日 21:50
活気づく「脱原発」政党、自民は沈黙 敦賀廃炉の公算大
12月11日(火) 8時01分
 日本原子力発電敦賀原発(福井県)が廃炉になる公算が大きくなり、衆院選で「脱原発」を訴える政党は活気づいた。苦戦を強いられているだけに、反転攻勢に向けてアピールに躍起だ。一方、政権に返り咲くと判断を迫られる自民党は沈黙している。
朝日新聞
原発なくせ
2012年12月11日 21:51
日本原電、原子力規制委に質問状 活断層判断に異議
12月11日(火) 20時55分
 原子力規制委員会の専門家会合が、日本原子力発電敦賀原発(福井県敦賀市)の敷地内を走る断層を活断層の可能性が高いと判断したことに対し、日本原電は11日、「科学的な見地から疑問がある」として、規制委に公開質問状を出した。
朝日新聞
P社
2012年12月12日 23:25
部品発注取り消し、パナソニックに賠償命令 横浜地裁
12月12日(水) 19時30分
 発注を一方的に取り消されたとして、下請け企業が松下電工(現パナソニック)に約4600万円の損害賠償を求めた訴訟で、横浜地裁(佐村浩之裁判長)は12日、パナソニックに約260万円の支払いを命じる判決を言い渡した。
朝日新聞
原発なくせ
2012年12月13日 07:47
燃料棒、接触して使用か 柏崎刈羽原発、異常はなし
12月12日(水) 23時37分
 東京電力は12日、新潟県の柏崎刈羽原発5号機の使用済み核燃料プールに保管していた燃料集合体1体で燃料棒が曲がって接触していたと発表した。核燃料が損傷するなどの異常は見つかっていない。だが、接触したまま原子炉に入れて運転した可能性があり、燃料損傷事故になる恐れがあった。
朝日新聞
原発なくせ
2012年12月13日 07:49
敦賀原発の「電力購入費」 関電、電気料金に上乗せ
12月13日(木) 0時02分
 家庭向け電気料金を平均11.88%値上げしたいと申請した関西電力が、廃炉の公算が大きい日本原子力発電敦賀原発(福井県)から電力を買う費用として、年間300億円程度を電気料金の計算の基礎となる「原価」に含めていることが12日、経済産業省の電気料金審査専門委員会で明らかになった。
朝日新聞

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