大企業の工場撤退/緊迫、大飯原発再稼働

立地補助金 返還相次ぐ
税金投入 雇用・振興に役立たず

 自治体が支出した立地補助金の一部を大企業が返還するケースが増えています。電機製造業などが赤字を口実に工場再編などを進め、立地から5、6年という短期間での生産縮小・撤退が相次いでいるからです。「地域経済の活性化につながらない」と、地元の日本共産党と議員団は補助金の返還に向け尽力しています。
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(写真)3月いっぱいで閉鎖されたパナソニックディスプレイの茂原工場=千葉県茂原市

千葉・茂原市 パナソニック

 液晶テレビのパネルを製造するパナソニック液晶ディスプレイの千葉県茂原市の工場は2006年5月、操業を始めました。前身は日立ディスプレイズの子会社(05年1月に設立)です。10年に日立がパナソニックに株式を譲渡しました。

 テレビの売れ行き不振による赤字を理由に撤退が決まりました。12年3月に工場は閉鎖され、別会社のジャパンディスプレイに譲渡されました。

 同社には、県が「地元経済の振興」や「雇用確保」の名目で、50億円の補助金支出を決め、すでに06年の操業以降、20億3千万円を支出しました。市も40億円の補助金支出を決め、うち13億5千万円を支出しました。

 県はパナ社の工場譲渡を受け、企業立地補助金のうち3億4千万円の返還を請求。パナ社もこれに応じ同額を返還しました。市は返還を求めていません。

 同工場の正社員は操業開始時からすべて親会社からの出向で、新規採用はゼロ。その後も正社員を減らして非正規社員に置き換えてきました。工場の従業員数も08年5月の約2400人から11年末には1330人と大幅に減少しました。

 パナ社は工場撤退に伴い茂原工場の正社員を兵庫県姫路工場に異動させましたが、少なくない人が退職に追い込まれました。期間従業員など非正規労働者は雇い止めされました。

 地域経済への影響も避けられません。茂原市はかつて、日立を中心に企業城下町として栄えました。ブラウン管工場などで働く人たちで商店街も繁栄してきましたが、現在は中心商店街の店舗数も激減。大型ショッピングセンターの郊外進出の影響もあって街は「シャッター通り」化し、にぎわいはありません。

 市の担当者も「(パナ社の)資産償却に伴う固定資産税の減少など市財政にも大きなマイナスになる」としています。

大企業の“食い逃げ” 許されるか
リストラ野放しノー 市民と共産党各地で要求


 撤退したパナソニックに対し、日本共産党千葉県議員団(4人)と茂原市議員団(2人)は、雇用の確保と企業立地補助金の返還を求めてきました。今年2月の県議会では、株売却や工場閉鎖など大企業の利益のための再編劇のたびに労働者の解雇や雇用条件の悪化が進んだと批判。県に対し、企業呼び込み競争施策の転換を迫りました。

 補助金の交付にあたり、県は企業側があらかじめ提出した計画に基づいて10年間の操業を行うことを求める規定を設けました。しかし、県や市は企業に雇用を維持させるなどの権限はもっていません。

 日本共産党の平ゆき子茂原市議は「多額の税金をパナソニックに投入したものの、地域経済の活性化につながっていません。市は効果があったといいますが、地元の雇用に貢献せず、人口の減少にも歯止めがかかりません。結局、市がパナソニックのリストラの手助けをしただけではないですか。パナソニックは、すべての従業員の雇用を守る社会的責任を果たすべきです」と指摘します。
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(写真)兵庫県尼崎市のパナソニックプラズマディスプレイ尼崎第1工場(手前)と第2工場

兵庫・尼崎市 パナソニック

 パナソニックは兵庫県でも立地補助金の一部12億5700万円を県に返還しました。

 尼崎市にある世界最大級のパナソニックプラズマディスプレイ工場の生産停止・縮小に伴うものです。

 パナ社は2005年から尼崎市に三つの工場を建設し稼働させてきました。県は05年稼働の第1工場に30億9千万円(雇用補助含む)、07年稼働の第2工場に40億円、09年稼働の第3工場に10億円の合計81億円の補助金を支出。17年までに合計218億円(姫路IPS工場を含む)の補助金を出すことにしていました。

 ところがパナ社は昨年10月、「収益力の低下」などを理由に、工場の再編計画を決定。3工場のうち2工場の生産を3月末で停止しました。

 雇用を名目にした補助金も投入されましたが、地元の雇用には貢献していません。正規社員の採用はほとんどなく、期間従業員など不安定な非正規雇用が増えただけでした。

 日本共産党の兵庫県議員団(5人)は、県に対し補助金の支出の中止を求めるとともに、「上限なし」の補助金のあり方を抜本的に見直すよう提起してきました。

 工場の生産停止の決定を受け、補助金による企業誘致政策を推進してきた県もようやく対応に乗り出すことになりました。当初はなかった補助金の返還規定も策定。「補助金は10年の操業を前提にしており、操業期間からみて過大になっている分を清算してもらう」(井戸敏三知事)として同社に補助金の一部返還を求めることになったものです。
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(写真)NECライティング伊那工場=2010年10月、長野県伊那市

長野・伊那市 NEC子会社

 補助金の返還をめぐり訴訟や調停に持ち込まれる例もあります。

 訴訟を起こしたのは長野県伊那市の市民157人(原告代表・市川富士雄氏)。撤退した企業に市の補助金を返還させ、損害賠償請求をするよう市長らに求めています。

 問題の企業は液晶テレビ用の蛍光ランプを製造するNECライティング。NECの完全子会社です。同社は05年6月に伊那市で操業を開始しました。しかし同社は10年11月、売れ行き不振と中国の工場への集約を理由に工場を閉鎖。140人の雇用が失われました。

 同社はこれまで県から3億円の支援を受けてきたほか、伊那市からも06年から4年間で約1億6000万円の補助金を受けてきました。さらに同社の要請を受けて、市が6億7000万円をかけて造成した工業用地も同社は購入しませんでした。

 同社に対し市は補助金の全額返還を求めましたが、同社側は「市条例には最低限の操業期間を義務付ける具体的規定がない」などとして返還を拒否。市は昨年4月に長野地裁に民事調停を申し立てました。先月、同社が市に1000万円を支払うという地裁の調停が成立しています。一方、返還規定を盛り込んだ規則があった県には3918万円が返還されています。

 日本共産党の伊那市議員団(3人)は白鳥孝市長に対し、補助金の全額返還、損害賠償の請求、雇用の確保などをNECライティング社に求めるよう要求してきました。

 企業立地補助金 企業を誘致するために自治体が支出する補助金のこと。工場用地を整備したり、固定資産税や都市計画税を一定期間軽減したりする支援策などがあります。補助金の限度額は自治体ごとに決まっています。兵庫など「上限なし」の県もあります。高額な補助金で誘致した企業が自己都合により短期間で撤退し、雇用や地域経済に影響を及ぼす事例が増えています。
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判断に注目のおおい町長
創業会社は関電と親密


 政府が再稼働を狙う関西電力大飯原発3、4号機の地元、福井県おおい町の時岡忍町長(74)の再稼働に前向きな発言に注目が集まっています。そんな中、関西電力と時岡町長とのただならぬ関係を問う声も強まっています。
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(写真)時岡忍・おおい町長が取締役を務める日新工機株式会社=福井県おおい町

直接受注3億円超

 本紙は、時岡町長が創業し、今も役員をつとめる鉄工会社「日新工機」(おおい町、資本金1000万円)が原発関連の工事を8年間で4億6800万円分も受注し、関電からの直接受注が3億円を超えることを1月4日付で報じました。

 この問題は「朝日」(1月4日付夕刊)、「東京」(2月26日付)、「毎日」(4月6日付夕刊)などが追いかけて報道。再稼働のカギをにぎる原発立地自治体トップと電力会社との不適切な関係を指摘しています。

飲食・ゴルフも

 時岡町長の長男で、同社社長の時岡良樹氏(43)は、本紙の取材に同社と関電の密接な関係を認めていました。

 ―基本的に原発関係の工事をする会社なのか?

 時岡社長 そうです。メンテナンスの工事をやらせてもらっている。(大飯原発)3、4号機建設当時におやじ(時岡町長)が作った会社。
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(写真)おおい町役場庁舎=福井県おおい町

 ―1件あたり3600万円や1900万円と関電が直接発注した工事の額はどれも大きい。

 時岡社長 全部が全部、額が大きいわけじゃない。工事経歴書には大きい工事をとりあえず載せた。(関電の仕事で)小さいものは何十万円、何万円の工事もある。

 ―会社の接待交際費で関電と飲食やゴルフなどに行くことはあるのか?

 時岡社長 ありますよ。

 大飯原発の稼働が同社の売り上げに直結しているのは、同社自身も認めるところです。2010年度の事業報告書では「発電所メンテナンス工事の中で不具合等による新規修繕が追加され売り上げ確保に繋(つな)がる事となった」と記しています。

公平性に疑問

 おおい町議会は14日、原発再稼働を容認する決議を賛成多数であげました。日本共産党の猿橋巧町議の反対を押し切ってのものでした。これを受けて、時岡町長は、月内にも判断を示すと思われます。しかし、親族企業が原発マネーの恩恵をうけていることは、時岡町長の公平性に大きな疑問が残るといわざるをえません。

 日新工機と時岡町長 1988年に時岡町長が創業。今も全株式の約46%を保有する筆頭株主です。旧大飯町の収入役に就任する直前の96年6月まで、同社の社長でした。その後、非常勤の取締役となっています。同社の2003年度から10年度までの工事経歴書によると、大飯原発関連の工事を少なくとも73件、計4億6800万円分を受注。関電からの直接受注は、少なくとも19件、計3億400万円となっています。(2012年5月18日、しんぶん赤旗)

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この記事へのコメント

ブラック企業
2012年05月19日 13:20
パナソニックは所得隠しもやってたな。経営責任とったのか?やること最低やな。株価下がって当然やろ!
原発なくせ
2012年05月21日 00:54
大飯原発再稼働「反対」54% 朝日新聞世論調査
5月21日(月) 0時06分
 朝日新聞社が19、20日に実施した全国定例世論調査(電話)によると、原発に対する政府の安全対策を「信頼している」は「大いに」「ある程度」を合わせて21%にとどまり、「信頼していない」が「あまり」「まったく」を合わせて78%にのぼった。福井県の大飯原発の運転再開については、反対が54%で、賛成の29%を上回った。
朝日新聞
原発なくせ
2012年05月23日 03:26
原発復旧に組員を違法派遣 容疑の組幹部逮捕
5月23日(水) 1時02分
 東京電力福島第一原発の復旧工事に労働者を違法に派遣したとして、福島県警は22日、指定暴力団住吉会系幹部で自称人材派遣業、大和田誠容疑者(33)=福島県二本松市成田町1丁目=を労働者派遣法違反(禁止業務)の疑いで逮捕し、発表した。容疑を認めているという。
朝日新聞
悪の総本山(松下政経塾)
2012年05月29日 21:31
【中国書記官スパイ疑惑】
松下政経塾に在籍 5回の来日歴で人脈広げる
2012.5.29
【中国書記官スパイ疑惑】
 警視庁公安部から出頭を要請された在日中国大使館の1等書記官は、中国人民解放軍総参謀部の出身とみられ、これまでに5回の入国が日本当局に確認されている。国内の研究機関にも所属し、日本通の研究者として知られていたほか、多くの政治家を輩出した松下政経塾に在籍した経歴もあった。
 書記官は、公的には中国・河南大学出身とされているが、1989(平成元)年に人民解放軍傘下の語学学校を卒業後、総参謀部に所属した疑いがあり、警視庁公安部で事実確認を進めている。
 捜査関係者らによると、平成5年、河南省洛陽市の職員を名乗り、同市と友好都市の関係にある福島県須賀川市に「福島県須賀川市日中友好協会」の国際交流員として来日した。7~9年には福島大学大学院で学び、日中関係に関する論文も執筆していたという。
 その後帰国し、総参謀部との関係が指摘される調査研究機関「中国社会科学院」で日本研究所副主任を務めた後、11年4月に再び来日。松下政経塾の特別塾生となっている。
 以降も帰国と来日を繰り返し、東京大学東洋文化研究所など、日本の研究機関にも研究員として所属。日本語もうまく、日本文化や制度にも通じていたという。19年には、それまでとは異なり、外交官という立場で在日中国大使館に赴任していた。
悪の総本山(松下政経塾)
2012年05月30日 02:57
お笑いなのは、現国家公安委員長・松原仁は松下政経塾出身だということだな。
現民主党とその政権の中枢は松下政経塾出身者が占めている。首相の野田佳彦をはじめ外相・玄葉光一郎、国家公安委員長・松原仁、政調会長・前原誠司など枢要なポストを占めているね。

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