現行の派遣法でも正社員になれる。直接雇用は正社員で申し込むのが社会的常識(2010年11月13日)

派遣法でのたたかい

現行の派遣法では、「正社員と明記されていないから、違法行為があったとしても正社員とまでは言えない」とか、「期間の定めのある雇用契約が、期間の定めのない雇用契約に転化する事はないから、正社員とは判断できない」とか、「派遣労働者とは雇用関係にないから団体交渉に応じる義務はない」との違法企業を保護する内容の理屈がまかり通っています。

しかし、派遣法の直接雇用の規定には、「正社員を含まない」とか「正社員になれない」とは書いていません。
派遣法が示す直接雇用の意味は、「正社員を含めた直接雇用の形態である事」に間違いはありません。

どうして派遣法は直接雇用の形態(地位)を特定していないのか?

それは直接雇用でも各個別の事案で、「社会通念上」もっともふさわしい直接雇用の申し込み義務があるからです。
また、複数ある雇用形態(正社員・期間工・パート・アルバイト)に対応する事で、労働者が必要とする雇用形態のニーズに応えるためでもあります。

派遣法で争われる各個別事案について、論点は「社会通念上」もっともふさわしい雇用形態の申し込みは何か?と言う事ですから、「期間の定めのある雇用契約が、期間の定めのない雇用契約に転化する事はないから、正社員とは判断できない」と言う契約転化の理屈ではありません。

問題は、受入企業(派遣先)が「社会通念上」ふさわしい雇用形態の申し込みを行っていないのが問題なのですから、「社会通念上」期間の定めのない雇用契約(正社員の地位)を申し込まなければならない事案は、数多く存在しています。

派遣法の原則は、臨時的・一時的業務に限られています。

法律上、直接雇用が原則なのですが、例外的に法が定める厳格な規定の中で、「労働者派遣」という雇用形態を、臨時的・一時的業務に限り認めているにすぎない事を考えれば、有期雇用契約も繰り返し更新され、事実上、期間の定めがないような状態で3年以上も働き、受入企業(派遣先)が派遣法の定める規定から逸脱した運用を行っていた場合など、労働の実態から判断すれば「社会通念上」期間の定めのない雇用契約(正社員の地位)を申し込む事が適しています。

「社会的な常識から逸脱している実例」 1 

福井県敦賀市にあるパナソニック若狭工場では、1999年から違法な労働者派遣が行われていた事を08年12月に福井労働局から是正指導され、雇用の安定を図るように求められました。
しかし、パナソニックは今までの賃金が半分以下になる時給810円のアルバイトという直接雇用の条件を労働者に提示してきました。
条件改善・正社員化を求めて団体交渉を申し込んでも「派遣労働者とは雇用関係にないから団体交渉に応じる義務はない」と拒否され、裁判所に提訴した事で810円のアルバイトでの就労も拒否されました。


「実例」 2 

空調機器大手のダイキン工業堺製作所(堺市)で雇い止めされた期間社員4人が、ダイキン工業(本社・大阪市)に雇用の継続などを求めた裁判の第1回口頭弁論が14日、大阪地裁で開かれました。

ダイキン工業は、2007年に大阪労働局から偽装請負の是正指導を受け、期間社員として希望者を直接雇用に切り替えました。今年8月に、2年半の期間満了で約200人を解雇しました。

原告は、JMIU(全日本金属情報機器労組)大阪地本ダイキン工業支部の組合員。裁判で、「18年も勤めあげてきた仕事を続けたくて、やむを得ず条件に従った」と2年半の有期契約に応じたことを主張。「人件費を削減するために有期雇用で、人間を物扱いする経営姿勢に納得いきません。仕事が継続していて200人を解雇して新たに200人を雇い入れるなら私たちを雇い入れてください」と訴えました。

裁判後の報告集会で、井上耕史弁護士は、「今回の裁判は、偽装請負の実態の問題、期間満了という理由で簡単に解雇していいのかという問題が、正面から争われていくことになる」と強調しました。


派遣法でも受入企業(派遣先)に団体交渉の応諾義務があります。

国会答弁でも「直接雇用の申し込み義務が発生した場合、その契約の成立には当事者間での合意で契約を成立させる事になっている」と言っています。

企業と個人での契約交渉において、立場の弱い個人ではパナソニック若狭やダイキンの事例のように企業側から不当な労働条件を押しつけられ対等・平等な契約交渉などできません。

そのため労働者には団結権が認められおり労働組合をつくって団体で企業と対等・平等な交渉を行う事ができます。


「重要な見解・事例」

マツダ(本社・広島県府中町)で働いていた派遣社員が2008年末に雇い止めになった問題で、県労連(尾野進議長)と地域労組ひろしま(門田勇人委員長)は9日、組合員3人が県労働委員会に救済を申し立てた結果、マツダを追い詰める和解を勝ち取ったと発表しました。尾野議長、門田委員長らが県庁内で記者会見をしました。

労働者派遣法は、同一業務での派遣可能期間が3年を超える派遣労働者に派遣先が直接雇用を申し込む義務があると規定しています。マツダはこの規定を逃れるため、3カ月と1日だけ直接雇用する「生産サポート社員」制度を常用しました。地域労組ひろしまはマツダへ団体交渉の要求書を提出し、マツダが拒否し続けたため、09年2月に救済を申し立て、県労働委が14回の調査と3回の審問を実施。今月6日に和解協定書に調印しました。

尾野議長らは、県労働委の中間的見解が「(直接雇用申し込み義務は)派遣元からの通知を派遣先が受けていなければ、いかなる場合も発生しないと解することは適当でない」「派遣先の直接雇用申し込み義務が認められる場合には、派遣先に団交応諾義務が生じることも考えられる」と述べた点を評価し、「本人たちの希望である直接正規雇用が実現できなかった点は残念だが、中間的見解は私たちの主張を全面的に認め、現在の派遣法の問題を浮き彫りにした」と強調。臨時国会で論議される派遣法改正で、違法な派遣があった場合に期間の定めのない直接雇用を義務付けるよう抜本的な改正を求めていく決意を表明しました。

違法企業を免罪するということは

一般的に見ても、受入企業(派遣先)が派遣法の仕組みを引用して団体交渉を拒否する事は、派遣法が労働者の権利を侵害し、憲法で認められている人としての権利までも奪う法律である事を証明している事になります。

財界・大企業が唱える理論理屈がまかり通るようであれば、派遣法は憲法をも侵害する法律になるでしょう。

しかし、派遣法の存在は、権利の侵害や憲法を侵害するための法律ではありません。

たんに明文化されていない条項が多いだけの事で、解釈の幅が大きいだけに悪用される事が多いのです。

だからこそ派遣法を抜本改正して労働者保護の観点から法律の明文化を進めて行かなければならないのですが、社会的常識をふまえて労働者を保護する観点から派遣法を解釈していけば、現行法でも「社会通念上」期間の定めのない雇用契約(正社員の地位)が成立する事が一般常識であるし、派遣法の制度を利用して団体交渉を拒否するような不当労働行為は認められないのです。

私が言いたいのは

現行の派遣法でも正社員になれますし、団体交渉も求める事ができます。
もし、企業の違法行為に負けてしまうような法律ならば、放置する事はできません。早急に抜本改正すべきです。

みなさん。財界・大企業のいい加減な理屈にまどわされる事なく、正当な主張をしましょう。

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