期待は今 福井の現場から `10参院選(2010年7月5日・福井中日)

 雇用

法改正も一寸先は闇

 「おう、元気か?」「よう」「仕事してるんか?」
 続く言葉はなかった。敦賀市のファミリーレストラン。正樹慎也さん(32)=仮名=は、派遣先だった家電メーカーの製造工場を辞めた元同僚の男性を見つけて話し掛けた。男性は言葉少なに店を後にした。

 「彼がまた、あの工場に戻っていたら、悲しいです」。世界同時不況以降、非正規労働者はことごとく雇い止めに遭った。正樹さんも例外ではなかった。

 福井労働局の調査によると、世界同時不況後の2008年10月から今年9月までに、県内41事業所で既に雇い止めに遭ったか、今後雇い止めになる予定者は計2934人。このうち派遣労働者は2366人にも上る。

 不況前はひと月の残業が100時間を超えることもあった正樹さん。09年2月、会社側から突然、自宅待機を命じられた。その後は300万円あった貯金を切り崩しながら、家賃32000円のアパートに住む。コンビニの弁当で腹を満たす日々。週一度通うハローワークに条件のいい正社員の募集はほとんどない。

 製造業への派遣を原則禁止とする労働者派遣法改正案は6月閉会した国会で継続審議となった。民主党や社民党が成立を目指す法案だが、「一年を超える労働者派遣は例外」と明記され、骨抜きになっている。

 派遣労働について、県内経済界の中核的役割を果たす福井商工会議所は、中小企業の経営基盤の弱体化を避けるため、派遣禁止には疑問を投げかける。同商議所の担当者は、日本商工会議所が政府に提出した意見書を基に「禁止となれば、労働者の賃金が上がり、企業経営に悪影響を与える可能性がある。加えて、企業が安い労働者を求めて工場を外国に造れば、雇用そのものがなくなる危険性もはらむ」と指摘する。

 徐々に持ち直す景気の裏には、再び雇用された非正規労働者の姿がある。正樹さんは言う。「国は『非正規を止めて正社員化を目指す』と言っても、結局は大企業の言いなりなんですよ」

労働者派遣法改正案

 業務請負にもかかわらず、メーカー社員が請負会社の労働者に直接指示、命令する「偽装請負」があった場合、メーカー側に請負会社の労働者を直接雇用する義務を盛り込んだ法案。ただ、直接雇用したとしても有期雇用が可能となっており、メーカー側が「期間満了」を理由に雇い止めを告げれば、労働者は職を失うことが問題になっている。

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